目が痛い

連日パソコンの画面を睨み過ぎた。
瞼が時折痙攣を起こす。

口から洩れるのは重いため息。
何度目だろう。
じわじわと不安が広がっていく。
底の方に。這うように。




「こんなのはどう?」
今日から新しく上司になった女性が、自分のパソコンを指差して聞いてくる。

それ、今見なきゃいけませんか。

言葉は喉に上る前に消滅し、自分は素直に立って画面を覘く。
さっきからいくつも事例を見せられているのは、ねむこが担当しているジャンルに当て嵌まりそうな物件だ。
発注に繋がりそうもない見積もりをしていたところに興味を持たれ、似たような物件でいいものはないかと隣で急に調べ始めた。

自分の作業をしながら聞いていたが、いちいち同意を求めてくるので手元はあまり進まない。
・・・今日はもう少し早く帰れると思っていたのに。
自宅までの道のりが長いねむこにとって、退社が遅くなる、つまり睡眠時間が削られることほど苦痛なことはない。

そもそも、アンタの仕事はもう終わってんの?
なら人のもの調べてなくていいからとっとと帰ってよ。

おそらく今自分の顔には、「げんなり」とか「うんざり」とかいう札が貼られているだろう。
既に隠す努力は放棄した。

しかし調べるうちにノッてきたのか、彼女は次々と新しい事例を提案してくる。
・・・たぶん、この札を見ることができるようなアンテナを持ち合わせていないのだ。


そして「ねむこのためを思って」いろいろと考えてくれている。
悪気は一ミリもない。

だから、余計タチが悪いのだが。



今はいい。
まだ書類上の配属が変わっただけだ。
しばらくは自分の仕事だけしていられる。

一緒の仕事が始まったらどうなる。
この人とずっと顔突き合わせて話するなんて、あまり考えたくない。

すごいな、あの人たち。

彼女のサポートに入って働いている女の子たちを尊敬の眼差しで眺める。
よくこのテンションについていける。
それとも、自分に余裕がないだけだろうか。
確かにここ数日の極端な寝不足で、思考能力は低下の一途を辿っている。

初日からこんなで、やっていけるのだろうか。
相性が悪いのか、それともはじめから嫌だと思っているからそう感じるのか。


ついに底から這い上がってきた不安は、次々と思考を絡め捕り悪い想像ばかり植え付けていく。
引き続き漏れてくるため息は相変わらず重い。
それを打ち消すように、揺れる電車の中、痛む目を閉じる。




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なんっつって!

勢いで文章に叩き込んでみたけど、おねいちゃんずりあるしすたーずに怒られちゃいそうですね。
現実逃避の一種かも。
まあとにかく、配属替えの初日だったわけです。

別に何事もなく過ぎるかと思ってたら、残業時間に罠が。
つっかれたーあ。

あと一日…がんばろ…う…zzzzzz